「幻の洋梨」ル・レクチェの切り方は?簡単に美味しく食べる方法をご紹介します

「幻の洋梨」ル・レクチェの切り方は?簡単に美味しく食べる方法をご紹介します

新潟発祥のル・レクチェ。
「幻の洋梨」「西洋梨の貴婦人」「妖艶の果実」とも呼ばれる希少な洋梨の一品種です。
洋梨と言えばラ・フランスが有名ですが、このル・レクチェはラ・フランスを超えたとも言われるほどの美味しさで、知る人ぞ知る果物なのです。

今回はこのル・レクチェを簡単に美味しく食べる切り方をご紹介します。

「幻の洋梨」ル・レクチェとは

ル・レクチェはフランス中部のオルレアンという街で、バートレットとフォルチュネという品種の交配で生まれた品種と言われていました。
ただその後の遺伝子鑑定でバートレットとは親子関係がないと判明したそうです。
ル・レクチェという名前は1889年に17世紀にオルレアンで活躍した果樹園芸家のル・レクチェ氏にちなんでつけられたものです。

ル・レクチェは果皮に斑点(さび)少なく、酸味の少ない濃厚な甘みと鼻を近づけなくても漂う独特の香りが特徴です。食べ頃を迎えたル・レクチェは果皮が「ブライトイエロー」と呼ばれる美しい黄色に変化し、果肉がとろけるように柔らかくなります。

糖度も16度以上と高く、桃とラ・フランスを足して2で割ったような美味しさと言えるでしょう。皮をむく時にも、包丁を伝って滴り落ちるほど果汁も豊富でジューシーな味わいが楽しめます。

ラ・フランスよりもう少し細長い形をしており、1個当たりの重さは300~450gほどですが、中には600g近い大きさのものもあります。生産量が非常に少なく味も非常にいいため、特に大きなものは贈答用として利用されることも多くなっています。

ル・レクチェが新潟県の特産果実になった理由

ル・レクチェが新潟県の特産果実になった理由

ル・レクチェの栽培が最初に行われたのは新潟県、現在の新潟市南区のあたりです。
茨曽根村(当時)の庄屋・小池左右吉という人が1903年(明治36年)にウラジオストクに旅行した時にル・レクチェと出会い、翌年にフランスから苗を取り寄せて栽培に成功したことから広まり始めました。

2018年(平成30年)の農林水産省の調査ではル・レクチェの栽培面積は全国で131.1ヘクタールとなっています。ラ・フランスの生産面積は867.5ヘクタールと比べるとずいぶんと狭いですね。そのうちの約81%が新潟県に集中しています。

新潟県の気候や土地がル・レクチェの栽培に適していたことも大きな理由のひとつです。
特に新潟市南区(下越)は信濃川と中ノ口川に囲まれた場所で元々は低湿地が広がっていました。ル・レクチェは土壌が柔らかい方が根を張りやすく、気温も高くない場所を好みます。

日照時間も冬は短いものの、春から秋にかけては太平洋側と比較しても長く晴れやすい気候であり、降水量が多い事もポイントです。
魚沼産コシヒカリは日本でも非常に有名ですが、コメも育成に水分が必要な作物のひとつで、年間1,000mm以上がひとつの目安となっています。
土壌の改良を重ね、ル・レクチェは新潟市南区の特産品として名前が知られるようになったという訳です。

ル・レクチェの栽培はとっても大変!

ル・レクチェの栽培はとっても大変!

ル・レクチェは病気に弱く、実がついても風で落ちてしまうほど繊細な品種です。
しかも隔年結実といって毎年実をつけるわけではないので授粉は人が手でおこないます。実がついたらひとつひとつに袋をかけて大事に育てているんですよ。

そしてもうひとつ、洋梨は樹上で熟さないという特徴があります。もいだ後に常温で自然に熟していくのですが(追熟と言います)、ラ・フランスが2週間ぐらいなのに対し、ル・レクチェはなんと40~45日もかかります。
果実もとても傷みやすいので丁寧にあつかう必要がありますから保管場所も広くなければなりません。

ただ自然に熟すのを待っていると出荷の時期がバラバラになってしまうので、収穫後には保護用の袋をひとつひとつにかけて呼吸を止めるために2~5度で保管します。
これを予冷と呼んでいますが、この予冷を行うことで常温に戻した時に一気に追熟が始まりより美味しいル・レクチェが出来上がります。

ル・レクチェの食べ頃はこうやって見分けよう

ル・レクチェは収穫した時は皮が緑色ですが、熟すと黄色に変化します。
そしてその後、バナナのように表面に黒い斑点が出てきますがこれが完熟した証拠となります。

腐りだしちゃった!?なんてビックリしないでくださいね。
ル・レクチェはくび(ル・レクチェの頭の部分)とお尻が熟しやすいのでこの部分を軽く押してみてください。ふにゃっと凹むような感触があって、真ん中あたりも柔らかかったら間違いなく食べ頃です。

ル・レクチェは産地で9割がた追熟をした状態で出荷されますので、皆さんが手にするときはほとんどが黄色い状態ではないかと思います。なお、自宅で追熟する時は個装している袋は取らないでくださいね。袋が付いていない時はそのままでOKです。

ル・レクチェの簡単な切り方

ル・レクチェの簡単な切り方

ル・レクチェの果肉は桃のように果汁が多く、柔らかくて少しぬるっとしています。ですから皮をむいてから切るのはおすすめしません。カットしてから皮をむきましょう。

もっとも簡単な切り方はりんごと同じ「くし切り」です。ル・レクチェを半分に切ってから、果実の大きさによって4~8等分に切り分けます。その後に種の部分をV字に切って皮をむきます。半分に切った状態でくり抜き器やスプーンを使って種をくり抜いても構いません。
タルトや焼き菓子などに使う場合は煮込む必要が出てきますので少し薄めにカットする方がいいでしょう。
生で食べるときは、冷蔵庫で2時間程冷やすとより一層美味しく食べられます。

ル・レクチェの保存方法

ル・レクチェは一度完熟してしまうと日持ちしない果物です。
例えば数がたくさんあって一度に追熟させたくない場合は包装を取らずに冷蔵庫に保存しましょう。包装がない場合はビニール袋の入れておくと安心です。

完熟したものを保存する時はカットして皮をむいた状態で保存用袋に入れておくといいでしょう。ひと口大に切っておけば少しずつ食べられるので口直しなどにおすすめです。

ル・レクチェでワンランク上の美味しさを

完熟した状態も比較的わかりやすく、何より美味しいル・レクチェ。
なかなか手に入らない希少な洋梨なので、贈り物にもピッタリです。贈答用と書かれていなくても、身近な方へ贈られてみてはいかがでしょうか。洋梨は苦手という人にもきっと気に入っていただけること間違いなしですよ。